映えある第1回目は、奥田英郎です。 そう、『イン・ザ・プール』で直木賞を取ったあの奥田英郎です(つうか、そんなことぐらいみんな知ってっか...)。『イン・ザ・プール』なんかで直木賞取っちゃったもんだから、「コメディータッチの短編作家」というイメージで世間的には、認知されている気がする。つうか、俺が勝手にそう思っているだけかもしれんが...。 とにかく、伊良部シリーズしか読んだことない奴、悪いことは言わん。この『邪魔』もしくは『最悪』を読みなさい。笑いはないけど、結構読ませてくれますよ。 ちなみに、誤解のないように言っておくが、俺は伊良部シリーズも結構好きで、単行本を2冊とも持っている。けど、奥田英郎の最高傑作を一つ上げろと言われたら、迷わず『最悪』『邪魔』系を上げると思う。 直木賞ってなんか、いっつも最高傑作から1、2冊ずれてんだよなあ。「この人に直木賞あげるんだったら、それじゃなくて、これだろ、これ!」みたいなの、皆さん、ありません? 話が横道にずれてしまったが、本題に戻そう。 さて、この『邪魔』である。あらすじは文庫の裏に書いてあるので、それを読んでもらうとして、俺は核心を突こうと思う。 この作品を通して、作者が表現したかったのは、「特異な状況によって特異な人間が形成されていくその過程」ではないかと思う。 「特異な人間」というのは、物語にはなくてはならない要素であり、場合によっては、それが作品のテーマそのものだったりする。その特異性がどのように形成されてきたのかが物語が進むにつれて徐々に明らかになってきたりする。隠された過去が明らかになったりとかね。 でも、この作品の場合、平凡な一主婦が本人とはまるで関係のない理由で、特異な状況に巻き込まれ、その状況によって徐々に変貌していく様が、実に克明に描かれている。つまり、普通と逆なのである。物語の初期、平凡な主人公に代わり、この作品を引っ張っていくのが、特異な状況なのである。 『最悪』の時もそうだったんだけど、これでもかこれでもかという具合に悪化していく状況はまさに物語の主人公といっても過言ではない。読んでるこっちの胃がきりきりするくらい。人間なんて所詮、状況によってしか変わらないし、変わっていけないもんなんだなー、なんて悲観主義に陥りそうになる。しかし、異常な状況によって追い込まれた人間が変貌する時、一種異様な凄みを感じさせる。それがたとえようもなくセクシーで魅力的なのである(例え、それが男だったとしても)。作者もそれが書きたかったんじゃないのかな。 とにかく主婦恭子の変貌振りはすさまじい。終盤、ちょっとやりすぎの感もあったけど、俺は逆にすっとした。所詮、エンターテイメントやもん。最後までリアリズム追及したってつまらんやん。 しかし、その割にラストは今ひとつ。九野と恭子、散々匂わしといて、それかーい!タイトルもどうなん?っていうわけで、★4つです。
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